STORY
「初級革命講座飛龍伝」
激動の70年代機動隊の盾を打ち破った伝説の石「飛龍」の唯一の投げ手、元全学連の熊田留吉は、いまは挫折し、国がつくった挫折公団アパートに住んでいる。そして、毎日、石売り娘をする嫁が拾ってくる石を磨いている。
80年11月26日まであとわずかというある日、元機動隊員の山崎監査員が家を訪ねてくる。山崎は、かつてのライバル熊田にあの激動の日々を思い出させ、もう一度国会前で闘いたいと願っていた。必死に鼓舞する山崎に、熊田はのらりくらりと答えない。はたして熊田は、伝説の「飛龍」を握りしめ、国会前にあらわれるのだろうか。
「あゝ同期の桜」
今作品は、毎日新聞社発刊の海軍飛行予備学生十四期会による遺稿集「あゝ同期の桜 帰らざる青春手記」が原本になっている。脚本の榎本滋民は、自らが学徒動員で九州の海軍基地の航空廠で、油まみれになりながら、エンジンの整備をし、終戦の年の四月に飛行予備学生に合格した経歴を持ち、志願ではなく徴兵で特攻要員となった第十四期生を真に兄と慕っていたという。
等身大の出陣学徒の内包された精神を浮き彫りにせんと、つか芝居で育った役者達と錦織一清が長期ワークショップを通し名作「あゝ同期の桜」を作りあげます。